(12)
再び歩き始めてから、2時間ちょっとくらい経った。
二川の一里塚跡を過ぎて、何もない野原をぼーっと突き進み、
やがて、その時がやってきた。

「…静岡県だ。」

愛知県と静岡県の県境に、やっと到着したのである。
コンビ二で買っておいたリポビタンDで風邪薬を飲み、一息ついた。

いつのまにか国道一号線に合流して、すっかり迷った恐怖を忘れていた僕だが、
ここでまた足止めをくらってしまった。
なぜか、歩行者進入禁止の標識が目に飛び込んできたのだ。
なんで?いいじゃん別に。
と、思ったので、構わず先に進んでみると…

「潮見バイパス?なにそれ」

どうやら有料の道路らしかった。
自転車はお金を払っても通してくれないようだった。ケチな道路だ。

途方に暮れるのは、これで何度だろうか。一日の間にこれだけ途方に暮れ続けるというのは、なかなか経験できない珍事だ。
とりあえず、来た道を戻った。
戻りながら、豊橋で僕を打ちのめしたあのダメ地図を広げてみる。

「こうなりゃまた旧東海道を行くしかないかな」

見たところでどこをどう行けば旧東海道なのかがわからないので、あまり意味がなかった。
豊橋で大失敗したばかりなので、ためらいもあったが、
人もいないし、店もないので、自転車が通れる道を適当に進むしかない。

それにしても、歩いていると、色々と考えや思いが浮かぶ。
いったい僕は、なにをやっているんだ。
僕は今こうして、こんな訳もわからない山の中を歩いている。
いったい僕は、なにをやってるんだ。

白須賀宿の只中。山の間を進んでいくと、ひどい下りの急坂にさしかかった。
あまチャリに乗ったら、どんなに楽チンなことだろう。
ポンコツ状態なので、乗らずに歩いて下った。
途中、そんな急坂を反対方面から、いかにもチャリ旅行な人が、ヒーヒー言いながら登ってきてすれ違った。
どう考えても歩いた方が速いのに、その人は自転車からおりることなく、ヒーヒー言い続けて、こいでいた。
そんな彼を見て、だいぶ励まされた。

白須賀の急坂は、おまけに急カーブ。
車が見えなくてけっこう怖い。

意味がわからない。
なんで歩いて帰ろうと思ったのか、忘れてしまった。
意味がわからない。

急坂をおりきると、だらーっと続く長い道。ずっと先の方に、大倉戸ICが見えた。例の潮見バイパスにつながるんだろう。
そして、このころになってから、ようやく標識に現れたのは…

静岡の文字が、やっと出てきました。

「おお!やったぞ!」

ゴールしたわけでもないのに、ゴールした気分になった。
そして幸運なことに、自転車屋も発見!
メンテナンスしてもらった。六角レンチを買い、これでいつステンとといってもグラグラきても対応できる。
復活していたマメの痛みからの解放。
僕は再びあまチャリにまたがった。

それからはズンズン進んだ。
やがてJR新居町駅が見えてきた。東海道本線の駅だ。
駅の向こう側には、巨大な湖が。

「おお、あれは浜名湖ではありませんか?」

やっぱりそうだった。
そして浜名湖を横断。橋の上では釣り人があちらこちらに。
ものすごく暇そうだ。
いつのまにか、再び国道1号線に復帰していた僕だが、新居町を過ぎたあたりから、道幅がだんだんと狭くなっていった。

「おいおいおい。おーいおいおいおい。」

おいおいと泣く人のマネをする余裕も出てきた。
勢いに乗り、JR弁天島駅に到着。
舞阪宿。

弁天島といえば、この海に浮かぶ鳥居。弁天神社の大鳥居です。

日帰り温泉の看板をちょろちょろと見かけた。
入ろうかどうか迷ったけど、結局やめた。

そのまましばらく進むと、どーんという感じで松並木が現れた。

おもちゃデジカメの残り画数を気にして撮ってなかったけど、随分余裕ができたので取りまくり。

松並木は東海道の名残らしい。
東海道ルネッサンス?の看板もあった。これは最近のものだろう。

車がじゃんじゃか通行するので、ど真ん中を走ることはできなかった。
松並木自体、あっという間に終わった。

「なーんだ。」

その先に、100円ショップを発見。
ほぼ本能的に中へと入って物色を始めた。

「やっぱダイソーはすごいなぁ。静岡にも戻ってきて欲しいな」

ここで自転車の空気入れと、換えの電池、手袋を買った。
そして、いよいよ間近に迫った浜松へ向けて出発!

「待っててね、うなぎパイ」



(13)
舞阪宿を離れる頃、この日の太陽が姿を消した。
暗い夜道、知らない道。
得体の知れないスリルがあった。
自転車のほんのりスピード感がスリルを増大させてくれた。

浜松市に入ったのは、完全に暗くなってから。
歩道がデコボコしていて、すごく疲れる道だった。車道は車でいっぱいなので、歩道を進むしかなくて、キツイ。

ピカピカ光ってるデパート。引き込まれる。
賀茂神社でジャグリングをする少年たちを発見。微笑ましい。
ナギナタをかついだ高校生たちとすれ違った。かっこいい。

…お腹がすいた。
リポビタンDを口にして以来、エネルギー源が体に入ってない。
まともなご飯を食べよう。
そして今日こそは、しっかりとした休息をとろう。
そう心に決めていた。
ただ、お金があまりないので、それなりに考えて使わないといけなかった。

浜松に入ってからどれくらいの時間が過ぎたかわからないが、
やっとのことで、街中にたどりついた。
マックか、ミスドか…とにかく安くすまそうと思った。

そんなとき、思い出したのは…ザザシティ浜松で大道芸をしたときに休憩中に食べた、
ザザシティ地下の食料品売り場にあったパック詰めの小魚フライのことだ。あれは確か安かった気がした!
そういうわけで、ザザシティへと向かい、真っ先に食料品売り場へ。
そこで、思わぬものを発見した。

「バナナ!!」

エネルギーといえばバナナだ!中学校の時の部活の顧問がそんなことを言っていた。
よし、バナナを買おう!
なんと、求めていたパック詰め小魚フライも残り一パックのところをゲット。
しめて¥250。
ちょっとかかってしまったが、生きるためには仕方がない。

これで夕食はなんとかなりそうだが、もっと問題なのは、寝床であった。

「昨日のマンガ喫茶には参ったし…ホテルってわけにもいかないし…野宿できる体調でもないしなぁ…」

そういうわけなので、マンガ喫茶に決定した。
非常に都合よく、マンガ喫茶も発見した。
「ポパイ」と「ゆう遊空間」。どちらにしようか迷ったが、フリータイムの時間帯の都合上、ゆう遊空間に。

マンガ喫茶という空間にまだあまり慣れていないので、ドキドキしながら入店。
いきなりカードを作らされた。

リクライニング席というのがあったので、その席にしてもらった。
今日は読まないぞ、マンガなんて読まない!
と思っていたが、

「お、これは…キン肉マン!…ん?二世?なんだ?!」

キン肉マン二世?
気になったので、確保。自分の席に向かった。
あんまりおもしろくなかったので、すぐに眠りにつくことが出来た。






(14)
浜松の朝。別に普通の朝だった。

「さあ、今日はいよいよ、静岡だぞ!」

鼻息が荒かったかどうかは定かではないが、朝の五時には出発した。
朝ごはんは吉牛。

「うまいっ!ご馳走様」

これは、いいスタートだ。と思ったのもつかの間。
出発後、まもなくのこと。
僕の目の前に、どでかい天竜川が現れた。
恐ろしいことに…

「橋が…渡れない!」

なんと、自転車で渡れる歩道がなかったのである。橋なのになぜ。
天竜川橋、そしてすぐ隣の新天竜川橋。両方とも歩道らしき場所がない。のに朝から車が通ってる。

「新を作るくらいなら、歩道作れー浜松市!」

悲鳴をあげつつ、川を南下。ところが、渡れそうな橋が一向に見つからないのである。
仕方がなくなり、新天竜川橋を渡ることにした。

「えーん怖いよぉ」

でも渡ってみれば、どうってことなかった。
そして場面は磐田市へ。
ここからは快調に国道一号線に沿って進み、袋井、掛川と、次々に通過していった。

そして、間もなく僕は、
旅の最終日であるこの日が、「山」の日であることに気づくのである。


(15)
掛川を過ぎたあたりから、周りの雰囲気が妙に山めいてきた。
役立たずの東海道本を久しぶりに開けてみた。

「おお!・・・やっぱわからん。」

ひとつわかったのは、
掛川を過ぎると次は三番目に小さな宿場町だった日坂宿に着く、ということだった。
掛川バイパス?に入らないように気をつけると、進む道は山へ続いていた。
何やら神社が見えてきた。
つらい山道をひたすら進む。すると…

「あれ?バイパスにきちゃった」

とても自転車では通れそうにない有料道路に行き着いた。
引き返すのは嫌だったので、わき道を通り山を登って越えることを決意した。

「しかし、なんて傾斜だろう」

わき道を進むと、どんどんと坂が険しくなってきた。

「うぎゃー」

どんどん険しくなってきた。

「たーすーけー」

「ーて」

しかし、険しさはおさまらない。

そうこうしているうちに、山の上のほうまで上がってきていたようだ。
そして山の道端で古びた立て札を見つけた。

「夜泣き石跡…?」

「跡ってなんだ?石はどこにいったんだ?そもそも夜泣き石ってなんだ?」

さまざまな疑問が頭を巡ったが、山登りの気だるさからか、ほどなく納得して先に進んだ。
クモの巣だらけのほこらや、一面のお茶畑を横目に見ながら、進む。進む。進む。

道がだんだんと道らしくなってくると、公園?みたいな場所にたどり着いた。

一休み。眺めがよくて、感動した。山登りはこういう喜びがあるわけか。

出発。今度はひたすら下り道だった。
菊川。
そして、行く手に道路が目に入る。

「おお…人工の道だ。」

すっすり粗大ゴミ化していたあまチャリに久しぶりにまたがり、こいだ。
すると、まもなく道に迷った。

金谷の山間は、実にわかりにくい道だった。
行ったりきたりを繰り返す。

ふと、電車の音が耳に入る。

「そうだ、電車の行く方向を確認しよう」

よく見ると豊橋行の電車が、僕の進んでいる方向へと向かって過ぎ去っていく。
電車はやがてトンネルへと消えた。

「豊橋行の電車と同じ方向…?」

「逆走してる?!」

慌ててきた道を戻る。すると見えてきたのは…

「金谷宿 石畳…」

東海道の名残りが、こんなところにも。石畳の道である。これを進めばいいわけか。
あまチャリがまた粗大ゴミと化す。転がすにも転がし辛く、困りながらも石畳を進む。

そうしてようやく、人間の雰囲気のある風景が目の前に広がった。
看板や、車や、家々である。

平坦な道路は実に素晴らしく、あまチャリもいきいきしてきた。

でかい川、大井川が現れるも、歩道が確保されている(当たり前)ため、すんなりと渡れた。
そうこうしていると、時間もお昼時。

ちょうど島田の街が見え始めてきた頃。

「よし、ご飯だ!」

スーパーに寄り、買い物。今日の昼ごはんは、どらやきとはんぺんフライだ。

島田駅で休憩。
「いただきまーす」
「…ごちそうさまー…あれ、もうない!?」

あっけないご飯だった。

せっかく島田に来たんだし…有名な蓬莱橋を見に寄ってみた。
うん。素晴らしい。蓬莱橋は、明治時代に作られた古い木造橋なのである。

島田から先…、もうあとは楽勝だ。
そう、思っていたが…


(16)
島田から藤枝、藤枝から岡部へと、実にすんなりと突き進んだ。
これまでの苦労を忘れるくらいの快走。
このくらい道がすんなりしていれば、旅も楽なんだろうなあ。
しかしその分おもしろいぐらいにネタがない。
やはり長い人生、ハプニングがあった方がおもしろい。
ハプニングを回避して無難に生きる人生は、それでそれでいいのかもしれないが、
僕は僕の人生を利用して、ハプニングまみれの本を作ってみたいと思った。
内容はどんなかな、どんなかな。妄想はチャリ上でどんどん浮かび上がる。
とにもかくにも、

「本を作るぞ!」

と、岡部町役場前で誓ったのだった。
もうすぐ先に、最後の難関・宇津ノ谷峠が待ち構えてるとも知らず…

国道一号線は、岡部バイパスに差し掛かっていた。
この日に関しては、これまではパイパスになっても
自転車でも回避できるルートがあり助かっていたけど、今回は無理そうだった。

「また、山を越えるのか」

とほほである。とほほ本舗である。
しかもそびえたつ山の険しそうなこと。
こうなれば覚悟を決めて、登ろうではないか。
マウンテンを登ろうではないか!!
モォワウンティェンを登ってしまおうではないか!!!

近くにトンネルが見えた。
その前に、山に入っていけそうな横道があった。

「今!登るなら今だ!」

ものすごい傾斜、夜泣き石跡のあたりの急坂よりも、もっときつかった。
僕は言い聞かせた。何度も自分に言い聞かせた。

「これを超えれば、あとは下って、その先は静岡市だぞ。」

がんば!ガンバ!
ラストガンバ!ラストガンバ!ゴーゴーレッツゴーレッツゴーあまる!

「うん、頑張る!オラ頑張るだ!」

あれよあれよと、山をかけ登った!
やがて一面にお茶畑、しかし人一人見かけない。
見渡せど見渡せど緑一色。
この畑は、誰が管理してるのかな。きれいだから、誰かが世話してるんだろうけども。

「人がいないなあ」

急坂はやがておさまり、平坦な道へと変わっていった。
いよいよ、静岡の街か。
僕はまるで故郷に帰ってきたような心境になった。
実際は静岡で生まれ育ったわけではないが。
実際は岩手県で生まれ群馬県で育ったわけだが。
もう少し詳しく説明すると岩手県北上市で生まれ群馬県新田郡新田町で育ったわけだが。

「静岡って、名前がいいなあ 響きが素晴らしいなあ」
「僕、貧乏だなあ今」

帰ってからどうやって生きていくか考えてみた。
大道芸人生活はまだ残り三ヶ月も残っている。

「貧乏だなあ」

考えてみる。


正直、当たり前な話、あまりんぐは儲からない。生活が成り立たない。
休学して僕は、ケチになった気がする。お金に対してケチになった。
ケチになっても、成り立たないものは成り立たない。

うまい棒や小麦粉で満足してていいのか?
僕の小麦粉料理はしかもまずい。うまい棒めんたい味は四本目くらいで舌が麻痺する。

「いいのかなあ」

よくなかった。
三ヶ月は確実にもたない。

今回参加した大阪の大道芸フェスティバル。ある芸人は言っていた。
「火を使うだけで投げ銭の額は一桁違う」

僕はこれまで大道芸の中で火を使うことを拒み続けてきた。
後輩たちに対しても「使うべきではない」と言ってきた。
しかし…

「使おう」

よし!帰ったら、猛特訓だ。
なぜなら僕はあることを思いついた。
一ヶ月半後に迫ってきた大道芸ワールドカップin静岡。
その舞台で、ある対決を試みようと。

「コメディ寸劇とコメディジャグリングファイヤー付、儲かるのはどっちだ」

これらの演目を交互に披露し、得た投げ銭の額を比較しようという試みだ。

なんだか知らないが燃えてきた。フ、ファ、ファイヤーである。
しかし、今まで使ってこなかったあまりんぐ的に相反するテーマだ。
大道芸ワールドカップまでに、ファイヤージャグリングウルトラが完成するだろうか。
時間がない。

「残り一ヶ月の時間はジャグリングファイヤーコメディアンの完成を急ごう!」
「うまくいけば投げ銭アップだ一石二鳥だ!さよならうまい棒(めんたい)と小麦粉だ!」

頭の中で盛り上がった。この時は本当に盛り上がっていた。
そして思考はエスカレートし、ある決意まで固めてしまった。

「苦楽を共にしてきた僕のコメディ寸劇が一ヶ月で作るようなファイヤーショーに負けることがあったら、
コメディ寸劇は一生封印だ!!」

頭脳の盛り上がりは最高潮に達した。

ふと、前を見てみる。

「ん?」

道が。

道が!

「行き止まり」


頭脳世界で盛り上がっていた僕。
急坂を登り続けた僕をヘナヘナにするには充分過ぎる演出であった。

山道が行き止まりになってしまったのである。

「どうやって静岡市に行けばいいんだー」

この山を降りても歩道のない国道一号が待っているだけである。

「うーん」

「ヤッホー!!!」

来た道を戻り、山を降りることにした。


(17)
急坂での決意は足を進めるたび膨らむ一方だった。
山を降りると、なにやら大学生らしき群れに出くわした。
それはピクニック的集団であった。
あまチャリという粗大ゴミを転がし急な坂を下りてきた僕を、不思議そうに見る一行。
彼らも山を登る気だろうか。
しかし…彼らは見るからに、この日のために色々準備してきましたという雰囲気があった。
旅ガイド的なマップを手に持っていたからである。
それは僕が大阪で購入したダメ本とは比較にならなそうな、見やすそうなマップ。
彼らもまた、静岡方面に向かおうとしている模様だった。

「…後をつけるか」

僕はまた決意した。

するとすぐに、ハイキングコースみたいな場所にたどり着いた。
宇津ノ谷峠、というらしい。初めて聞く峠だ。
さてこの峠越え、入り口のところでいきなり二手に分かれていた。
案内板みたいなのを見てみる。

「上からも、下からも静岡にいけるみたいだな」

ピクニッカーたちは、下の道を選んだようだ。

「じゃ、上いこっと」

ところがこの上の道、いきなり上り坂で、しかも道幅が狭い。
あまチャリがこの上なく邪魔な存在と化した。

「んぐーんぐー」

それから森みたいなところに入り、でこぼこ道となり、あまチャリを担ぐことになった。
途中、神社みたいな跡地があったり、お化けが出そうなトンネルがあったりした。
トンネル…

なんだか吸い込まれそうなトンネルだった。ゾクゾクした。
宇津ノ谷峠か…帰ったら調べてみようとこのとき思った。

森の中は暗かったけど、抜けると外は明るい。夕方というにはまだ早い時間。
人もいた。集落にたどり着いた。
なかなか雰囲気のいい集落だ。途中滋賀にあった伊勢街道のようなタイムスリップ夢気分である。
時代に取り残された感じがとてもよかった。

旅館みたいな建物から人が出てきた。
森から自転車を担いで現れた僕は、そのおばさんにやはり不思議そうな顔で見られた。

集落の間を歩いて進むと、気になる表示が。

「秀吉の陣羽織はこちら」

秀吉って、あの秀吉かな。だろうな。陣羽織?なんだっけな。
しかし入り口がよくわからなかったので、そのまま通り過ぎてみた。
またいつかきてみよっと。

通りの途中では、子供たちが玉遊びをしていた。
ビーチボールをサッカーみたいにして遊んでるみたいだ。

集落は500mくらいで通り抜けられた。今度は下り坂、道路だから楽に進めた。
降りた先にあったのは、丸子のドライブイン。

「丸子…ああー静岡に帰ってきた感じがする!帰ってきたーぞーおー」

進む。

「あ、安倍川だ!帰ってきたーーーぞーーーおう」

進む。

「うへ、静岡駅だ!かえってーーーきたーーーーーーぞーーーーーい」

進む。

「ん?なんだこのおんぼろアパートは?」

気づく。

「あ、我が家だーーーーーー」

「帰ってきたーーーぞーーーーーー間に合ったぞーーーーーーーーーー!!」

らせん劇場の演劇「おはよう、ナマハゲ」の公演日は、明日。
チケットを無駄にしないですんだ。すんだのである。

「やったーーーーー!!!」


疲れはどこかに吹き飛んだ。悩んでいたことも、まあ、ひとまずおさまった。

「いやー、自転車って、本当に素晴らしいですね」

さて、準備するものがいろいろある。
さあ、頑張るぞー残り時間は、わずかだ!


(18)
翌日、静岡駅南口にて、佐久川氏と合流。
「歩いたんですか」
「大半はチャリだったけどね」

歩くといえば、佐久川氏のほうがハイウォーカーである。
東京から日本海を見に歩いていくような男である。
考えてみれば東海道を歩くよりもよっぽど危険だったことだろう。

彼の話がなければ、今回の小冒険も生まれなかったかもしれないことを思えば、
まあ少しは感謝しなければなるまい。


東海道か… ここはまだゴールではない。
静岡〜東京間もなんとかせねばなるまい。

それはまあ
今年の大道芸ワールドカップIN静岡での
コメディ寸劇VS一ヶ月で作るファイヤージャグリングショーの結果次第ということで。


どうなることやら。


頭脳世界のナマハゲは言った。
「小さくなって、大きくなれよ」

つ・づ・く ?

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